オーク材とは?特徴や家具に使用するメリット・デメリットを解説
家具を選ぶ基準の1つとして「どのような木材が使用されているか」に注目される方もいらっしゃるでしょう。
家具にはさまざまな木材が使用されていますが、木材の種類によって色や木目といった見た目や、耐久性・耐水性といった機能性などが異なります。
そのため家具に使われている木材の種類や特徴を知っておくと、理想の家具を見つけやすくなるでしょう。
中でもオーク材は人気が高く、どの家具店でも目にするような定番の木材。オーク材の特徴や家具に使用するメリット・デメリットを解説するので、家具選びの参考にしてみてください。
目次
オーク材とは?どのような特徴がある木材?
オークはブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、日本では「ナラ」や「ミズナラ」と呼ばれ、どんぐりがなる木としてお馴染みです。
日本以外にも北米やヨーロッパ、ロシアなどで自生しており、育った環境によって木目や木径が異なります。北で育ったオークほど、成長が遅くなるため木目が小さくなります。
また「虎斑(とらふ)」と呼ばれる虎の模様のような、美しい木目が楽しめるのも魅力です。
オーク材は耐久性・耐水性に優れ、加工しやすいのが特徴で、古くから家具やフローリングのような床材・建材に用いられてきました。
ギリシャ・ローマ時代の遺跡からオーク材の家具が発掘されるほど、古くから利用されています。
さらに優れた耐水性からワインやウイスキーを熟成させる樽や、船舶の材料にも用いられており、家具・建材以外にもさまざまな用途で使用されています。
オーク材は大きく3種類に分けられる
オークは複数種類ありますが、中でも一般的にオーク材と呼ばれるのは大きく3種類です。
1.ナラ(ミズナラ)
主に北海道やロシアが産地で、比較的寒い地域で育つため、木目が細かく詰まっているのが特徴です。
加工しやすいため家具や建材、船舶、ウイスキー樽など、幅広く活用されます。
中でも日本の北海道産ミズナラは「ジャパニーズオーク」とも呼ばれ、高い品質を誇っています。
白い木肌と目の詰まった年輪に加え、白檀や伽羅のような香りが魅力です。
ただし最近は国産のナラ材は希少で、ロシア・中国といった海外産のナラ材も輸出制限で希少となっています。そのため後述するホワイトオークが、ナラ材の代替品として使われています。
2.ホワイトオーク
主にアメリカやカナダなど北米が産地で、重くて堅いのが特徴。白みがかった色が日本のミズナラに似ています。
根から吸収した水分の通り道である「道管」を閉じるチロースという組織が発達しているため、耐水性が高く液体を保管するのにぴったりです。
ワインやウイスキー、シェリー酒、バーボンなどの熟成樽に用いられています。
3.レッドオーク
こちらもアメリカやカナダなど北米が産地。その名のとおり赤味がかった色をしており、ハッキリとした木目が特徴です。
ホワイトオークのようにチロースが発達していないため、耐水性は低く酒樽や水回りへの使用は不向きです。
ただし他のオーク材に比べ力強い赤みと重厚感があるため、どっしりとした家具・インテリアの材料に適しています。
オーク材を家具に使用する5つのメリット
オーク材を家具に使用するメリットを5つ紹介します。
耐久性・耐水性に優れ丈夫
オーク材はとても堅く重いため、傷がつきにくいのが特徴。椅子やテーブルなど普段の生活で頻繁に使い、傷がつきやすい家具に最適な木材です。
また耐水性にも優れているため飲み物を零しても、シミになりにくくなっています。
小さい子供やペットがいる家庭など、家具の傷や汚れが気になる場合にぴったりな木材です。
木目が美しく独特な虎斑を楽しめる
オーク材は木目の美しさが大きな特徴で、柾目(丸太の中心部を通らずに切断した際できる木目)・板目(丸太の中心付近を切り出した際できる木目)で見え方が異なります。
また虎斑という虎の模様のような、独特の木目が現れることも。必ず出るものではないため、希少価値が高くなっています。
柾目:直線的で平行な木目。シンプルなためナチュラルテイストの家具に使われる
板目:力強い山形の曲線模様。ハッキリとした木目が重厚感を演出してくれる
虎斑:オーク材特有の希少な木目。銀色に輝いて見え家具を引き立てる
いずれの木目も美しく、家具をより魅力的にしてくれます。
変形しづらいため長年使える
オーク材は堅く伸び縮みしにくいため、家具に使用しても変形しにくいのが特徴です。
無垢材と呼ばれる切り出したままの自然の木材は、湿度を吸収・放出し伸び縮みする性質があります。
木材の種類によっては伸縮により、曲がり・割れなどの変形が発生しますが、オーク材は堅いため変形しにくく、家具に使用しても長年使い続けられます。
比較的価格が安く手に入りやすい
比較的安価で、手に入りやすいのもポイントです。
一般的に針葉樹より広葉樹の方が高価ですが、オーク材は他の広葉樹に比べると安価です。
ただし北海道産のミズナラや虎斑は希少で高額なため、オーク材の種類によって左右されます。
また無垢材の家具ではなく、薄くスライスした木のシートをベニヤに張りつけた「突板家具」であれば、オーク材の使用が少ないためより安く手に入ります。
防虫効果があるため虫が寄りつかない
オーク材にはポリフェノールの一種である「タンニン」が含まれているため、防虫効果があります。
シロアリのような木を食べてしまう害虫がつくと、家具が長持ちしません。オーク材はタンニンのおかげで、害虫による被害を受けにくくなっています。
オーク材を家具に使用する2つのデメリット
オーク材を家具に使用すると、さまざまなメリットがありますが、反面デメリットも存在します。メリット・デメリットどちらも把握したうえで、検討してみてください。
定期的なメンテナンスが必要
オーク材に限らず無垢材は、定期的なメンテナンスが必要で手間がかかります。
オーク材はオイルや樹脂で塗装されるのが一般的で、基本的には水拭きや乾拭きで手入れします。
しかしオイル塗装の場合は時間経過でオイルが乾き、木の断面から乾燥が進むため、年2回ほどオイルを塗ってひび割れなどの劣化を防がなくてはなりません。
樹脂塗装の場合は光沢を維持するため、定期的なワックスが必要です。
また無塗装の場合は傷やささくれができやすいので、傷・ささくれが目立ってきたらサンドペーパーで削りましょう。
とはいえオーク材は頑丈なので、他の木材に比べるとあまり手間がかかりません。
熱伝導率が大きい
オーク材はあまり空気を含んでいないため、熱伝導率が大きくなっています。
熱伝導率が大きいと熱が伝わりやすいので、冬場に触れると冷たく感じやすくなります。
テーブルや椅子のような日常的に触れる機会が多い家具の場合は、デメリットとして挙げられるでしょう。
ただし温まりやすいため、部屋が暖かくなれば冷たく感じにくくなります。
オーク材は大きな家具やナチュラルテイストにおすすめ
オーク材は重く耐久力に優れるのが大きな特徴。ソファーやキャビネットなど、大型家具の木材に適しています。
長年使い続けたい場合は、変形しにくく傷がつきにくいオーク材の家具がぴったりです。
また木目が美しいため、北欧テイストやナチュラルテイストの家具にマッチします。
オーク材のシンプルな家具で揃えると、統一感あるコーディネートにできるでしょう。
- 最終更新
- 2022.02.28
三原 悟出雲工場 工場長
出雲市湖陵町出身。18歳の時に株式会社キノシタ出雲工場に入社。あらゆる技術を習得し、現在、工場長を務める。近年、出雲市内の企業と共同でIZUCOブランドの家具を立ち上げプロモーション等を開始。平成30年からIZUCOブランド製造を行い、市場の拡大を図る。