ABORD S008 スチールチェア デザインストーリー|モールドウレタンとスチールが織り成すハイバックチェア
KINOSHITAのホテルライクな家具ブランドABORDの新作スチールチェア「S008」が登場しました。
S008はシックで上質なインテリア空間に映える、エレガントなデザインが特徴です。しかしながら美しくて強く、さらには快適に座っていられる椅子を生み出すのは簡単ではないそうです。
「S008」ではそのような難しい課題をどのようにクリアして完成したのか、そのデザインの背景にあるストーリーについて、デザイナーの田原さんにお話を聞いてみました。
しなやかでエレガントなS008のデザインが生み出された背景
S008ではまず「人を包み込むような椅子」というイメージからデザインをスタートさせました。
「包み込む」というイメージや使用感を実現するため、S008はアイデアの段階ではラウンジチェアのようにちょっと大きめでボリュームのあるフォルムだったんです。
ただ、S008は椅子として汎用性が高く、エレガントでしなやかなフォルムとすることを目指してもいました。それで、ボリュームやシルエットに関して検討とブラッシュアップを繰り返し、現在のようなバランスのよいサイズ感にたどり着きました。
洗練されたデザインと強度を両立させる、さらに快適な座り心地も追求するというのは椅子をデザインする上で最も重要で、最も難しい永遠の課題だと認識しています。コンセプトやデザインは椅子ごとに異なるわけですから、椅子ごとに異なる課題に取り組まなければならないという独特の難しさをクリアしなければなりません。
S008のフォルム、強度、そして座り心地の絶妙なバランスを生み出す秘密は「モールドウレタン」「ハイバック」「スチール脚」という3つのキーワードで説明できると考えています。
S008でぜひ体感してほしい、モールドウレタンの絶妙な座り心地の秘密
S008のデザインを語る上で欠かせない要素の一つが「モールドウレタン」です。
モールドウレタンとは、型にウレタンを注入して発泡成形するウレタンフォームのことです。
一般的なウレタンはブロック状に発泡させたウレタンを切り出して成形しさらにそれを木枠や合板と合わせて使用します。それに対して、型から作るモールドウレタンではより自由な形状が作れるようになります。
具体的には、モールドウレタンなら三次曲面のように複雑なラインを生み出したり、強度を犠牲にせずにより薄く成形したりすることが可能になります。個人的には、より美しくキレのある直線を生み出せるのも、モールドウレタンならではだと思っています。
そのようなモールドウレタンの特徴を活かして、S008では細部に至るまで妥協のないエレガントなフォルムを実現できたと思います。
さらにモールドウレタンは一般的なウレタンよりもヘタリに強く、コントラクト家具としても長くお使いいただけるというのも嬉しいメリットではないでしょうか。
S008のハイバックが上質な空間にうってつけな理由
モールドウレタンはとても優秀な素材ですが、薄さと強度を両立させようとすると、ウレタンは通常より固くなってしまうんですね。
S008では当初から「包み込むような座り心地」を目指していたので、このようなデメリットを克服するために、通常より背もたれがやや高めのハイバック仕様としました。
さらに、満足度の高いホールド感のため、ハイバック部分を背中にフィットする内R(アール)とし、部分的に張地が浮いた状態になっている部分を作っています。その浮きが独特のクッション性を生むので、実際に使用した方からは「ハンモックみたいなフィット感で気持ち良い」といった嬉しいコメントもいただいています。
座った瞬間はやや硬いと感じられても、長時間座っていてもおしりが痛くなることなくご使用いただけるはずです。ぜひショールームにお越しいただいて、S008に長めに座って試していただきたいですね。
また、ハイバックチェアには空間をゆるやかに区切るパーティション効果も期待できます。テーブルを囲うようにS008を配置すれば、落ち着きや安心感を感じやすい空間を生み出せるでしょう。
S008のスチール脚がインテリアに与える影響
S008は別製品である「W001」とシェル部分のデザインを共有していて、脚のデザインだけが異なっています。木製脚タイプがW001で、スチール脚タイプがS008という位置づけです。
W001とS008は高さ・角度を合わせていますので座り心地に違いはありません。ただしルックスではスチール脚のS008はW001にくらべてよりシャープでモダンな印象が強く、この違いがインテリア空間にも異なる影響を及ぼすと思います。
スチール脚は木製脚よりもかなり細くすることが可能で、シャープな印象に仕上げやすいのが特徴です。
ただ、S008はシェル部分にそれなりのボリュームがあるデザインなので、脚をシャープにしすぎるとアンバランスになってしまうんですね。そこでS008にはΦ22のスチールパイプを採用しています。通常のスチールチェアではΦ16とかΦ19などがよく使われるんですが、やや太めにすることで、全体の調和を図っています。
すごく細かな部分ですが、座面を下支えするように配置されたスチールパイプの上端もエンドキャップを使ったり平面的にふさいだりせず、半球状に仕上げています。あまり注目されることのない部分かもしれませんが、デザイナーとしてはエレガントさが損なわれないよう、こんなディテールにも妥協せずこだわっているので、実物をご覧いただく際にはちょっと注目していただければうれしいです。
▼S008
▼W001 木製椅子
S008を使ったインテリアコーディネートの秘訣
W001とS008、いずれも自由なコーディネートを楽しんでいただけますが、たとえば落ち着いた雰囲気や重厚感のある空間には木製のW001、シャープですっきりとしたイメージの空間にはスチール製のS001を、といった感じで使い分ければコーディネートがしやすいかもしれません。
S008は落ち着いた空間でゆっくりとお食事を楽しんでいただくようなシーンでご活用いただけると思います。
ハイバックの良さは先述の通りですが、テーブル席に配置するなら二人席より四人席以上の方がパーティション効果が実感しやすいと思います。さらにテーブルごとにS008の張地の色を変えるなどしていただくと、“見えない間仕切り”があるかのようなパーティション効果が高まるはずです。
S008をテーブル席としてコーディネートするなら、同調メラミン化粧板を使用した丸テーブル天板「TT009」などと合わせると、高度なインテリア空間が作れると思います。
同調メラミン化粧板とは立体感のあるエンボス加工で複雑なパターンを表現できる素材で、TT009は本物と見紛うような美しい木目調の加工が魅力になっています。
色についてはマットブラックのTT009なら、S008とより相性が良く、上質な黒で空間を引き締める効果が期待できます。
木製脚のW001をお使いになる場合は、木製テーブルの「AT001」がきっと似合うと思います。AT001は無垢ビーチ材を採用し、マットで落ち着いた質感に仕上げた美しい一台です。こちらもぜひお試しいただきたいですね。
▼AT001 木製テーブル
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- 最終更新
- 2024.11.28