ミラノサローネ2026 レポート|“素材”をデザインの出発点に据えるインテリアとは

2026年も、世界最大級の家具・インテリアデザインの祭典「ミラノサローネ」が開催されました。
家具・インテリアにおける最先端のデザインが世界中から結集するこのイベントからは、最新トレンドはもちろんのこと、デザイナーやメーカーが何を想い、消費者が何を求めているかなどを感じ取ることができます。
この記事では実際に現地視察を行った弊社スタッフによる最新レポートから、
- ミラノサローネ2026の特徴とテーマ
- 視察から見えてきたインテリアデザインのトレンド情報
についてご紹介します。
本ページ末尾には、無料でダウンロードできる全68ページの「2026 ミラノサローネトレンドレポート」もご用意しています。この記事には収まりきらなかった最新トレンドの詳細、視察スタッフによる考察、ピックアップブランド18選などを収録しています。最新トレンドを読み解く資料としてぜひダウンロードしてお楽しみください。
目次
ミラノサローネとは?世界中のインテリアデザイナーから注目される理由
ミラノサローネ(Salone del Mobile.Milano)とは、イタリア・ミラノやその近郊で開催される世界最大規模の国際家具・インテリア見本市です。
毎年、世界中の家具ブランド、デザイナー、建築家、インテリア関係者がミラノに集まり、最先端の家具・インテリアデザインを発信します。1961年以来ほぼ毎年開催されているミラノサローネは、2026年4月21日(火)から26日(日)まで、ロー(Rho)地区のフィエラミラノを会場に開催され、のべ31万人以上が来場しました。
世界中32カ国から1,900以上のブランド・家具メーカーが選りすぐりの最新プロダクトを持ち寄って広大な敷地を埋め尽くす様子はまさに壮観です。最新鋭の無数の家具が持つフォルム・素材・感触・仕上げからは何が流行しているか、素材や製造技術の進化がどこまで進んだか、さらにはユーザーが何を求めているかなどについて非常に多くを学べます。といっても世界中のデザイナーや建築・インテリア関係者からの注目を集める理由はそれだけではありません。
ミラノサローネの会場からは、ブランドの思想や「これからのデザインの方向性」を読み取ることができます。そこにはメーカーやデザイナーが単に良いものを作ることにとどまらず、どんな課題を解決しようとしているか、何を未来に残そうとしているかなどを空間・音・光・素材を通じて五感で体感できるという独自の魅力が何十万人もの人々を惹きつけているようです。
同時開催された「エウロクチーナ」「サローネ・バーニョ」
ミラノサローネの開催期間中、ミラノ市内の各エリアでは多数の展示やサブイベントが同時開催されます。これが「フォーリサローネ」と呼ばれるもので、本会場とあわせた期間中のミラノは都市全体がデザインの発信地となります。この一連のイベントが「ミラノデザインウィーク」として広く知られています。
2026年は偶数年開催の見本市として、
- キッチンに特化した「エウロクチーナ・FTK(Technology For the Kitchen)」
- バスルーム空間を扱う「サローネ国際バスルーム見本市(サローネ・バーニョ)」
がミラノサローネに合わせて開催されました。
このような展示が同時開催されていることからも、ミラノサローネが単なる家具の見本市ではなく、人を取り巻く空間や生活全体を考えるための多様なアイデアやインスピレーションに出会える場であることが分かります。
ミラノサローネ2026|デザインの根源にフォーカスする「A matter of Salone」の意味するもの
ミラノサローネ2026のテーマは“A Matter of Salone”。芸術作品においても題名がその作品に対する見方に大きく影響するように、このテーマもミラノサローネの展示を読み解くカギになります。
英語のmatterには「物質」そして「重要、本質的なこと」という意味があります。この意味の二重性は今年のテーマを理解する上で重要です。また「素材」と訳されるMaterialに比べて、matterはより起源、根源的なイメージを持ちます。
「A Matter of Salone」には、”サローネの本質はどこにあるのか”という問いが含まれます。それと同時にインスピレーションの発端となる「物質(素材)」をデザインの中心に据え直す、という姿勢もみられます。
このテーマによって、「優れたデザイン」という結果だけを見るのではなく、ただの樹木、石、ケイ砂であったものが素材になり、パーツになり、家具になるというデザインのプロセスに目を向けるように促されます。
やや観念的なテーマともいえますが、捉え方、見方を変えると家具や空間の価値はどう変容するかという、デザインの原点回帰と実験精神が“A Matter of Salone”の狙いであったのかもしれません。
現地視察レポート|2026年のインテリアトレンドの注目ポイントは
ミラノサローネ2026のインテリアデザインは2025年に引き続き「ぬくもり」「触感」「有機的な形状」など、自然や人間らしさにフォーカスしたことが伺える特徴が観察できました。
トレンドに大きなシフトチェンジはないものの、住空間・インテリアに求められるものへの理解がより深まったと言えるかもしれません。ここ数年続いてきた自然な色合い、柔らかな素材感、丸みのあるフォルムが、より成熟した表現へ進んだ印象です。
ここでは現地視察レポートから、2026年の注目ポイントを3つに分けて紹介します。
カラー|素材に温もり・空間に深みを加える色使い

カラーのトレンドには少し変化がみられました。PANTONEは2026年の「カラー・オブ・ザ・イヤー」として、「Cloud Dancer」という気品を感じるオフホワイトを選定しています。この色は「過剰な時代からの解放」をイメージして選ばれたようです。
Cloud Dancerを中心にしたトーン・オン・トーン配色は狙い通りの気品が十分に感じられ、「解放」のイメージにもつながる穏やかな空白を生み出す役割を果たしていました。
さらに根強い人気を誇るアースカラーを鮮やかに進化させた「リッチ・アースカラー」も勢いを増していました。落ち着きとともに力強さを感じるカラーで、空間に生命力や深みが加わります。

リッチ・アースカラーの流れに連なる、ややくすんだグリーンも目を引きました。より深いリラックスやメディテーションを促す、穏やかな空間を演出できます。

全体としてぬくもり、深み、適度な空白に2026年のカラーのトレンドを感じることができました。
素材・仕上げ|触れることで感じられる素材の奥行きと豊かな表情
素材・仕上げにおいては、視覚+触覚で表現するタイプのデザインが多く見られました。
ブークレ、シェニール、ベルベットなどのユニークなテクスチャと触り心地を持つファブリックは2025年に引き続き人気が高く、座る前から柔らかさや心地よさを感じさせるような使われ方が印象的でした。

金属素材を使用したプロダクトでは、細く・薄く加工したパーツにマットな質感やアースカラーを組み合わせるなどの手法で、硬質で冷たい金属らしさのイメージを良い意味で裏切るような表現にトレンド感が感じられました。

石材やガラス等についても同様で、均一な美しさより、多層構造、水面のような揺らぎなどを取り入れた技法で、素材にユニークな表情を持たせる傾向が見られました。

木材はズシッとした木材特有の重厚感や木目などをそのまま活かすタイプのデザインと、木を塗装やコーティングで覆ってしまい、見た目には木材らしさをあえて消すことで視覚的にも触覚的にもユニークな効果をもつデザインなどが印象的でした。

どんな素材を使うにせよ、2026年の表現・仕上げは視覚的な美しさだけでなく、感じさせ、イメージさせる表現へと深まっていたと感じられました。このような変化には技術的な進歩も大きく関わっているかもしれません。
フォルム|有機的な曲線や不均一・ランダムな形状が際立つ
フォルムでは、ふっくらと丸みを帯びた有機的な形状が目立ちました。2025年までのトレンドが最先端でも継続しているとみられます。
ソファやプフ、ローテーブル、ダイニングテーブルなどでは、ふくよかでボリュームのあるフォルムが多く見られ、記号的な椅子の形状から離れ、彫刻的な存在感を持つデザインが増えているようです。

特にローテーブルやテーブルベースでは、際立って多かったのがキノコ型のフォルム、印象的だったのはランダムで不均一な天板形状などがあります。


一方で、丸みのあるフォルムだけで完結するのではなく、細いメタルパーツや異素材、手仕事感のあるディテールの家具・照明をコーディネートすることで、優しさの中に緊張感や品格を加える表現も見られました。
2026年のフォルムは、心地よさを軸にしながら、素材感やディテールによって空間に変化を与える方向へ進んでいたといえます。
ミラノサローネ2025との比較でわかる、インテリアデザインの深化の方向
| 観点 | 2025年の傾向 | 2026年の傾向 | 空間表現としての読み取り方 |
|---|---|---|---|
| カラー | 安心感・落ち着き | 素材の温度感を引き出す色 | 色単体ではなく、素材との関係が重視される傾向 |
| 素材 | 自然回帰・触覚性 | 素材そのものを起点にする | 表面材・張地・木部の質感に注目が集まる |
| フォルム | やわらかさ | 不均一さ・有機性 | 直線的な空間に余白や揺らぎを生む要素として機能する |
ミラノサローネ2026のトレンドは、2025年までの流れをさらに深めたものといえます。色、素材・仕上げ、フォルムにおける傾向は2026年も引き続き有効で、自然を感じる深みのある色調、触感を意識したファブリック、柔らかな曲線や有機的なフォルムは今年も多くの展示で見られました。
そのうえで2026年は、素材に語らせるような質感の設計、不均一でランダムな形状が生む自由さ、色が持つ温度感などが、より繊細に扱われていた印象です。コーディネートの妙技や見せ方によって空間全体で魅力を伝える展示も目立ち、家具は見るもの・座るものとしてだけでなく、多角的に感じ、楽しみ、使うものへと幅を広げています。
2026年のテーマ”A Matter of Salone”は、素材とプロセスへの眼差しに変化を促す、デザインにとって本質的な問いかけでした。あらゆる素材を単なる材料ではなくデザインの出発点として捉え直すこの視点は、これからの空間づくりにも通じるものです。家具は単なる設備にとどまらず、空間の印象や滞在体験にとってより重要な要素になっていくのかもしれません。
ミラノサローネ2027の概要
2027年のミラノサローネは4月13日(火)から18日(日)まで、2026年と同じくロー(Rho)地区のフィエラミラノで開催予定です。2027年にはコントラクト分野に特化した新しい試み「サローネ・コントラクト」も企画されており、インテリア・建築関係者の期待が高まっています。
キノシタでは毎年ミラノサローネを訪れ、世界の最先端トレンドをいち早く捉え、製品づくりに反映しています。2026年9月頃には、今年の視察を通じて得たエッセンスを盛り込んだ新商品を発表予定です。今後のラインアップにも、ぜひご期待ください。
また、この記事には収まりきらなかった最新トレンドの詳細や視察スタッフによる考察、ピックアップブランド18選、2025 → 2026 トレンド変化の比較表などを収録している全68ページの「2026 ミラノサローネトレンドレポート」もあわせてご覧ください。
- 最終更新
- 2026.06.24